■世の中には資格がなければ、就けない仕事がある。薬剤師もその代表だが、資格は、いってみれば第一の扉を開く鍵のようなもの。その鍵でキャリアをより豊かにするための第二、第三の扉が開けられるとは限らない。資格という“点”からキャリアプランを考えるのではなく、将来の自分像という広がりのある“面”に資格の活かし方を描く―久保田隆幸さんの就職活動はそんな逆算発想から始まった。
「勉強も人間関係もずっと薬学一色の世界できて、このままではあまりにも視野が狭いんじゃないか。一生の仕事をするなら、広い世界でいろんな人と働きたい、と考えたんです」
■病院や小さな薬局はもとより眼中になかった。目指したのは、スケールの大きな企業。そうして出会ったのが、イオン九州だ。「商業施設ですから、販売の人もいる。パートで働く人やマネジャーやバイヤーがいる。お客さまも千差万別でしょう。いろんな考え方、生き方に触れながら人間として拡幅していくことが、薬剤師の仕事のレベルアップにもつながるんだと確信しています」
■門前薬局などと違って大量の処方箋がくるわけではないから、一人ひとりの患者さんに時間をかけられるのも気に入っている。薬を渡す時に患者さんと話すと、服薬がうまくコントロールされていないことも多い。今日も痛み止めをもらいにきた人に適正使用をアドバイスしたばかりだ。
■社会的地位も高いレベルで推移している薬剤師。薬のスペシャリストとしてドクターとも対等に意見交換しなければならないというが、「日本の薬剤師はドクターと比べて、そもそも勉強の絶対量が不足しています」と、久保田さんは手厳しい。「学生時代に勉強しすぎて損することはないと思いますよ(笑)。かくいう私は、目下レジ打ち、伝票整理や商品発注、在庫管理など業務のほうの勉強に追われているんですが…。でも、品出しをしながら、同じような薬の成分を比較検討したりしてインプットしています。向上のチャンスは一見関係のない業務の中にも結構あるものです。業務をマスターしたら、次は市の薬剤師会が行っている勉強会などに積極的に参加しようと思っています」
目標はまだある。イオン九州の経営理念をしっかり学び、将来は商品部で商品仕入れを担当するのが希望だ。 |