イオンメイト九州・沖縄 1・2月号Vol.8

イオンメイト in 九州・沖縄 2020年1・2月号 vol.8


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マックスバリュ九州地元味めぐり500年も続く伝統のお寿司13甘めの酢飯に具を華やかに載せ戦勝祝いの押し寿司を今も伝える大村寿司【長崎】すみこれ6なかたけ肥前大村藩2万7千石の城下町大村市。ここには戦国時代から伝わる郷土料理「大村寿司」があります。文明6年(1474)、第1代領主大村純伊は「中岳の合戦」で島原の有馬氏に大敗。領地を失いましたが、6年後2年(1480)に雪の文明1辱を果たし、領地を奪還しました。領民は大いに喜び、取り急ぎご飯とありあわせの具をもろぶた(長方形の木箱)に詰め、押し寿司にして戦勝祝いの膳に差し出しました。将兵らは脇差しで四角に切り分けたとされます。いかにも城下町らしい由来であり、今も大村の人々は祝いの席に必ずこの大村寿司を出します。具材の定番は味付けしたニンジンやゴボウ、椎茸、かんぴょうなど。奈良漬けを入れたり、季節の魚の切り身をいれるなど、家庭によっても異なります。これらの具を甘めの酢飯でサンド。さらに同じ具と長崎では「はんぺん」と呼ぶ緑やピンクの蒲鉾の小間切り、そして最後に錦糸卵をたっぷりと載せます。こうしてできた「大村寿司」は菜の花畑のようでもあり、華やかな見た目に戦勝祝いの高揚感が今も伝わってきます。また、酢飯が甘めなのは、南蛮貿易で砂糖が手に入った長崎ならではの味の特徴。500年の時を超えて、大村の人々はこの伝統の押し寿司をこよなく愛しているのです。「もろぶた」と呼ばれる大村寿司専用の押し型木箱は、かつては花嫁道具のひとつとされていました。木製だからこそ、酢飯の水分を程よく吸収してくれるのだそうです。


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