イオンメイト in 九州・沖縄 2023年1・2月号 vol.26

イオンメイト in 九州・沖縄 2023年1・2月号 vol.26


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よ」。とさらに杉永さんは続けます「かまぼこは化学変化の食べ物」だとも。やはり奥が深そうです。長崎伝統の味を伝え守るためにさて、長崎のかまぼこは弾力がしっかりとして、味に深みがあるとされています。その秘密の一つは石臼。長崎では仕入れた原料のすり身を裁断した後、石臼に移し替えてこねるのです。「石臼はすり身の回転で生じる熱を抑え、すり身のダマを防ぎます」。温度が上がるとダマができてしまい、業界では「身が座る」と呼ぶとか。また石臼でこねるとすり身の繊維が残り、これが弾力のある食感に。杉永さんは「私たちは『かまぼこに足がある』と言います。『足』は弾力のことなんですよ」。さらに長崎では「落とし身」と呼ばれる魚の内臓系の肉を入れることで、味に深みを出して4いるとか。そのためコストもかかりますが「長崎のかまぼこが少し割高なのも、手間をかけているからなんですよ」と杉永さんが言います。卵白やでんぷん質などを加えてこね終えた「生すり身」は冷水で冷やしながら成型機で小判型に成形し、包装されますが、包装は手作業。生すり身がすっぽり入る型枠にビニール包装紙を載せ、その上から生すり身をポン。後は手早く包むだけ。「多少包装紙がズレても人間味があるでしょ」。手作業包装の理由がそこにあります。生すり身は一晩凍結させて寝かし、この後異物探知機で検査。安全を確認したのち、冷凍状態で店舗へと送られるのです。杉永常務の父で、創業社長の杉永幸次郎さんはこう言います。「長崎だけは昔ながらに石臼を回す。職人が手で状態や温度などを確かめ、経験で塩を入れるなど手作業の世界。すり鉢で仕込んだ伝統の味が大切です」。生すり身はハンバーグやシュウマイのタネにするなど、一つ手を加えれば「我が家の味」になると、杉永社長は言います。さらに余り野菜などの具を入れ薄揚げにする、ボイルしてポン酢で食べる、豚バラを巻いて焼く、などのアドバイスも。早速、試してみませんか?足が早い生すり身はチルドではなく、冷凍のまま物流出荷して保存期間確保。冷凍状態の生すり身をX線探知機で金属を検出。(撮影のために異物混入)冷水冷却した生すり身を成型機に通し、手作業で型枠に載せて包装。8イオンメイト


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