イオンメイト九州・沖縄 2021年11・12月号 vol.19

イオンメイト in 九州・沖縄 2021年11・12月号 vol.19


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地元味めぐり大分のソウルフード具だくさんの汁物料理と言えば、豚汁やさつま汁、けんちん汁などが思い浮かびますが、大分県民にとっては「だんご汁」こそ、郷土の汁物料理。練った小麦粉を平らに幅広く伸ばしたものを入れるのが特徴です。これが「だんご」で、丸くこねた「団子」とは形が全く違います。実はこねた小麦粉を丸めてしばらく寝かせるから、この名がついたそうです。さて、大分県は台地が多く、米作りに適していません。そのため、古くから小麦栽培が行われてきました。郷土料理の「じり焼き」なども小麦を使った粉食であり、大分焼酎が「麦焼酎」であるのもそうしたことから。味噌も大分県は麦味噌です。「だんご汁」はやはり大分県特産のしいたけ、いりこで出汁を取ります。これに先の麦味噌、あるいは白味噌を加え、だんごを入れます。他に根菜などを一緒に煮込みますが、基本的に肉類は入れません。ところで、この幅広のだんご、寝かせているときはだんご状でも、煮込む時は幅広に薄く延ばすのは、味の染み込みを良くするため。9別名を「ほうちょう」と言います。一説には大友宗麟の好物であった「鮑(あわび)の腸」が手に入らなかった時、家臣が小麦粉を練って腸に似せて伸ばし、茹でて出したところ、宗麟がいたく気に入ったとか。「鮑腸」の読みが「ほうちょう」なのです。面白いことに、山梨県の郷土料理「ほうとう」が「だんご汁(ほうちょう汁)」とそっくりで、兄弟のようだとか。また、福岡県や熊本県では「だご汁」と呼ばれ、やはり郷土料理として親しまれています。郷土料理の呼び名の違いも楽しいですね。


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