イオンメイト in 九州・沖縄 2022年11・12月号 vol.25

イオンメイト in 九州・沖縄 2022年11・12月号 vol.25


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九州味めぐり客人を奥座敷へ通し具沢山の鍋で歓待壱岐島のもてなし料理はあったか鶏鍋ひきとおし【長崎】玄界灘に浮かぶ壱岐諸島は古くは「壱州」と呼ばれ、本島である壱岐島の他、4つの9島で成る長有人島と無人島1崎県の島々です。壱岐島へは福岡市から高速船で1時間ほどで行け、人口は約2万5000人。小さな島内に神社が大小多数あることで知られ、主な産業は漁業と農業です。その農家ではかつてはどこの家でも庭や畑で鶏を飼っていました。そして盆や正月、祭りなどのハレの日に訪れた客を、家の奥座敷に招き入れ、その鶏をさばいて鍋料理でもてなす風習がありました。客人を家の奥に引き入れることを壱岐の方言である壱州弁で「ひきとおす」ということから、この名がついたと言われています。また、同じく壱州弁で「ふるまう」を「フレメー」というため、「ひきとおし」を「フレメー料理」と呼ぶこともあるそうです。特別な日に大事な鶏をさばいて鍋にすること11は、最上の歓待料理であったのです。そうめんを入れるのもひきとおしの特徴伝統的な「ひきとおし」はさばいた鶏のガラからスープを作り、醤油や砂糖などで味付けします。全体的にやや甘い味ですが、これはやはり砂糖が貴重品であった時代、砂糖を使ってもてなすという気持ちが込められていたのでしょう。スープにコクを出すため、鍋に張る水に壱岐焼酎を加えることもあるそうです。鶏ガラスープに鶏肉、ゴボウや白菜などの野菜類を入れて煮込みますが、鶏をあますことなく鍋に入れ、玉ひも(卵管と排卵前の卵)も入れます。写真などでプチトマトのように見えることがありますが、実は玉ひもなのです。また、元気に庭や畑を走り回っていた地鶏なので、肉の歯応えがしっかりしています。具材の特徴では島豆腐の「壱州豆腐」が使われることが挙げられます。壱岐に伝わる大


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